LOADING
日本ピーマック株式会社

プロジェクトストーリー

Vol.1日本青年館ホテル

二管式システムから個別冷暖フリーへ。
春・秋の端境期でも室温への要望に対応

ホテル名 日本青年館ホテル
住所 東京都新宿区霞ヶ丘町4-1
開業年 2017年8月
客室数 220

新築時に省スペースで
レンタブル比率を高める
PAFMACを選択

 日本青年館ホテルは創立98年、一貫して青少年の育成支援に力を注いできた一般財団法人日本青年館が経営するホテルだ。2014年度に新国立競技場の建て替えに伴い、既存の建物から移転して新しい建物をオープン。2017年8月から日本青年館ホテルとして営業を開始している。客室数は220室規模で120席のレストラン、350㎡の宴会場、会議室などを付帯するコミュニティーホテルとして営業している。
 顧客層は周辺にオフィス街があることからビジネス客、神宮球場や観劇に訪れるレジャー客、修学旅行やスポーツ大会関係者などの団体客を中心に、近年では都心部に立地し利便性も高いことなどからインバウンド客も増加している。また、建て替え後はアーバンリゾートとしての利用も増えているそうだ。
 同ホテルでは、新ホテルの建設に当たって常時冷暖可能な四管式の空調システムを導入せず、二管式冷暖房システムに日本ピーマック㈱のPAFMACを付ける方式を選択したという。その理由について総務部総務課長の松尾 直泰氏は次のように話す。
 「以前の建物も、二管式冷暖房システムで冷房と暖房は切り替え方式でした。切り替えは配管内の温水や冷水を一度常温にしてから入れ変えるため、作業に丸一日程度かかってしまいます。そのため季節の端境期にはいつ冷暖を切り替えようかとか、今日は暑くなりそう、寒くなりそうなど毎日天気予報を気にしていました」。
 また、ホテル支配人の祐成 一男氏は「施設も古かったですから空調機器のトラブルも多く、日々クレームとトラブルにビクビクしながらのオペレーションでした」と当時の苦労を振り返る。
 「そのような経験もあり、新築する際には冷暖フリーの空調システムの導入は宿願でした。そこで私たちから設計事務所へリクエストしたことは、通年で冷暖房を自由に切り替えできること、それが各客室個別に対応できることでした。ところが冷暖フリーにするために四管式冷暖房システムを採用すると配管が二倍になるため、当然イニシャルコストがアップします。さらに建物の建坪率の関係で、事業収益性上必要な客室数は決まっており、その分を確保すると四管式冷暖房システムを導入する配管スペースなどがとれないことが分かったのです」。(松尾氏)

 途方に暮れる中、設計事務所から一つの解決策が持ち込まれたという。
 「設計事務所が提案してきた方策が日本ピーマックのPAFMACを使うことだったのです。PAFMACなら二管式システムでも冷暖フリーになり、しかも客室の個別対応が可能になるというものでした。冷暖フリーは四管式でないとできないと思っていましたから、二管式でそれができると聞いたときは驚きました」。(松尾氏)
 二管式冷暖房システムのしくみは、ボイラー室などの熱源室でつくった温水や冷水を館内に張り巡らせた配管を通して客室に運び、室内に設置したファンコイルを介して温風や冷風に変えて室内空調するというもの。配管に冷水が流れているときは冷房、温水が流れているときは暖房が可能となる。このファンコイルという空調ユニットに、冷水でも暖房を、温水でも冷房を可能にするヒートポンプを内蔵したのがPAFMACなのだ。

空調にまつわるクレーム
知らずでサービスに専念

 PAFMAC導入によってさまざまなメリットが生じたと語る。
 「まず、二管式で個別冷暖房が可能になるので余分なパイプスペースがいらなくなり、その分部屋を広く取れるなどの設計上のメリットがありました。
 ホテルのオペレーション上でも負担が軽減されました。ホテルの建て替え以前は冷温水の切り替えについて、ゴールデンウイークを過ぎたら冷水にしよう、秋はあるスポーツ大会が終わったら温水に切り替えようなど、ある程度の目安を設けて行なっていました。それでも温度の感じ方は人それぞれなので、切り替え時期は常にビクビクしている状態でした。それがなくなったことでスタッフの心理的負担が減り、その神経を別の部分に注ぐことができるようになりました。現在、従来よりも少ない人員でオペレーションしていますが、空調トラブルへの対応が少なく、非常に助かっています。
 さらにランニングコストの面でもメリットはありますね。四管式冷暖房システムは、通年冷水と温水を流し続けることになります。それに比べると二管式は単純計算で半分になりますから」。(松尾氏)
 実際に約1年間稼働した現在、客室の空調に関するクレームは一つもないそうだ。操作も極めてシンプル。例えば、オートモードの設定にしておけば、室内が暑ければ操作パネルの設定温度を下げるだけで暖房設定になっていても自動的に冷房に切り替わる。

一般財団法人日本青年館
総務部総務課長 松尾 直泰氏

 気になるメンテナンスに関しては、業務用空調機に義務づけられている3カ月に一度の簡易点検の際にフィルターを清掃することを推奨している。日ごろのメンテナンスはその程度で充分だという。フィルターが汚れてくると管理室に設置した遠隔操作盤に警報が表示されたり、目詰まりが原因で空調機器の運転が停止してしまうことがあるのでこの点は注意が必要だ。
 アフターケアについては、PAFMACは基本的には18年は耐久するように設計されているそうだ。さらに故障時にもアドバンテージがある。通常の空調の場合は、壊れた機器が関わる系統を止めなければ修理ができないので、複数の客室を売り止めしなければならない。しかし、PAFMACは熱源機と室内機という概念がない一体型なので、壊れた機械だけを直せばよいわけだ。
 「PAFMACを導入したことでお客さまには快適な室内環境の提供が可能になり、さらに私たちは、空調機器に関するクレームやトラブルに気をとられることなくオペレーションに当たれるようになりました。PAFMACはホテルにとって本当に力強いパートナーだと思っています」。(祐成氏)
 イニシャルコストの軽減やレンタブル比率アップ、さらにはランニングコストの削減などに寄与するPAFMAC。四管式のように常時冷温水を流し続けないのでエコロジーにつながることにも注目したい。

週刊ホテルレストラン 2018年12月18日号掲載

日本青年館ホテル
ホテル支配人 祐成 一男氏

ヒートポンプ付FCU PAFMAC

ファンコイルに小型ヒートポンプを組み込んだユニットを冷温水2管式回路に分散配置した個別空調システムです。